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最近こんな相談が増えています。

企業が、運転資金のために金融機関に融資を申し込んだが、断られた。このままでは資金が回らなくなり、会社が潰れてしまう。何か他の方法はないか

新型コロナの影響が後を引き、思うように売上が戻らないため赤字が継続、結果的に運転資金が枯渇する事業者は少なくありません。

そんな事業者が金融機関に対し融資を申し込むのですが、今、金融機関は「赤字補填のための運転資金」に非常に厳しいスタンスをとっています。

そこで「いちど断られた融資」を逆転させる方法として、提案したいのが、手形貸付です。 

 

融資審査でもっとも重視される返済可能性を説得する資料の流れ

金融機関が融資の審査でもっとも重視しているのは、「貸したお金を返済してもらえるか」です。見込みが薄い事業者に対しては、当然ながら融資を断ります。

赤字補填のための運転資金を融資しても、現状を維持する取組しか行わなければ、売上が元に戻る見込みは薄いと金融機関は考えます。

貸してもらうようになるためには、以下の2点を伝える必要があります。

1/今後、売上や収益を増加させる取組どのように行っていくのか

2/その取組を行うことで、売上や収益がどれぐらい増加するのか

資料の全体の流れは以下のとおりです。

○○○万円の新規調達資金を活用して

○○○などの新たな取組を行うことで

売上や収益が○○○万円増えるので


上記のロジックの資料を金融機関に提出すれば、赤字続きの事業者も融資を検討してもらうことができるようになります。

融資を断られた場合の次の打つ手「手形貸付」

通常、金融機関から融資を受ける場合、返済期間3~7年程度証書貸付になります。

証書貸付は長期にわたって返済するため、金融機関が負担するリスクは高くなります(中小企業は外部環境の影響を受けやすく、返済が困難になるリスクが常につきまとうため)。

それに対し、短期貸付である手形貸付の場合、金融機関にとってはある程度リスク負担を軽減できます。

手形貸付とは、金融機関宛の約束手形を事業者が振り出し、この約束手形を担保として貸付を行う方法です。手形貸付で資金を借りた場合、借主は手形期日までに手形に記載した金額(融資額)を支払わなければなりません。

手形貸付が証書貸付に比較して(金融機関にとって)低リスクである1つめの理由は、金銭消費貸借契約に基づく貸付債権のほかに手形債権を取得できるからです。

もし借主が期日に返済ができない場合、金融機関は手形を不渡りにすることができるのです。不渡りになると金融機関との取引を停止させられる可能性がありますので、借主はなんとしてでも返済しようと努力します。

さらに2つめの理由は、いったん返済された後、再び手形貸付を事業者から申し込まれても、その時点でもう一度審査を行って返済不能リスクが高いと判断すれば融資を断ることができること。

金融機関にとって長期貸付におけるリスクを軽減できる貸付方法が、手形貸付なのです。

短期的に返せる目処があるなら手形貸付は検討の余地あり

一般的には、証書貸付に比べて手形貸付のほうが金融機関のリスクが少ないため、証書貸付で断られた融資案件を手形貸付で申し込むと認可されることがあります。

とくに近いうち大きな入金が見込める場合は、それを返済に充てると申請すれば、入金日まで手形貸付による融資をしてもらえる可能性は高くなります。

また大きな入金が予定されていない場合でも、資金繰り表を作成することで、手形貸付を借りる可能性を上げることができます。

具体的には、入金状況をにらみながら、一瞬でも、借りた資金を返せる見込みがあるタイミングを見つけるのです。「この時期、キャッシュがここまで増えます。それで返済します」という説得材料が、資金繰り表です。

返済後また資金ショートに陥ったら→もう一度手形貸付=短期継続融資

もちろん無理に資金をかき集めて手形貸付を返済してしまうと、すぐ資金ショートを起こす可能性が高いでしょう。

そんなときはもう一度、手形貸付で融資を申し込みます。そこで貸してもらえれば、資金繰りは一息つくでしょう。

その後、半年後や1年後に返済期日がやってきますが、そのときに返済し、またすぐに手形貸付で借りることを繰り返せば、必要な運転資金の長期的確保が可能になります。

この手形貸付を反復して借りることを、「短期継続融資(短コロ)」と言います(「短期の融資を転がす」ことから)。短コロだと証書貸付のように毎月一定金額の返済は不要となるため、毎月の資金繰りは楽になります。

スマートな短期継続融資の申し込み方

いきなり「短期継続融資(短コロ)で融資お願いします」と申請すると、金融機関は身構えます。「これから何度も手形貸付を繰り返して、いつまでも返済してもらえないのではないか」と恐れるからです。

そこで、まずは運転資金での通常融資(証書貸付)を申し込みましょう。証書貸付を断られたときに初めて、手形貸付を切り出すのがスマートです。

【手形貸付申し込み時の会話例】

「証書貸付は無理なんですね… わかりました
それでは半年で結構ですから、手形貸付で融資を検討してもらえませんか」


一度、手形貸付で借りた実績を作れば、その後の業況や資金繰り(入出金)次第で、短期継続融資につなげることができるかもしれません。

 

大事なことは「なぜ断られたのか」の原因を把握し、「逆転する手はないか」と情報を収集しながら徹底的に考えること。

 

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社会保険料を滞納している事業者は「倒産の可能性が高い」と判断されます。

 

社保料を滞納していても融資を得られた時代は、あった

融資をする際(とくに初めての融資時)、通常、金融機関は依頼者に納税証明を徴求します。税金の延滞があれば、そこでわかります。

そこまで税金の滞納に目を光らせるのは、税金には先取特権(債務者の財産について他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受ける権利)があるからです。税金を延滞していると、「差押え」される可能性が高くなります。

融資した資金がその場で差し押さえられては返済どころではありませんので、金融機関は納税を延滞している事業者にけっして融資をしません。もちろん社会保険料にも先取特権はありますが、国税」「地方税」の後順位です。

社会保険料を滞納している事業者は税金を滞納していることも多いので、まず金融機関は税金の滞納について厳しく確認。昔はそこで納税が確認できれば、社会保険料の納入証明は徴求せずに融資することがしばしばありました。

…ちょっと昔話…

 

納税していても社保は滞納している「かもしれない」企業に貸していたのは、納税していて社保を滞納している事例がほとんど見られなかったからです。「税金を払っているなら当然、社保も払っているもの」と考えていたのです。

社会保険料の滞納を調べるなら、3期分以上の決算書の勘定科目明細から細かく分析していたでしょう。しかし社会保険料の滞納で差し押えられた事例が当時ほとんどなかったので、そこまで手間暇をかけてまで社会保険料の滞納状況を調べることはしていませんでした。

 
今、たとえ「社会保険料の滞納があれば、融資は望めません」と話しても、「以前は融資してもらえたのに」と主張する方もいるかもしれません。
 

ご存じですか? 「社保倒産」

昔なら社会保険料を滞納しても、よほど悪質なケースでない限り「差押え」されることはあまりありませんでした。しかし最近、年金事務所による滞納金の取り立てが強化され、差押えが増えています。

「差押え」されると事業者は資金繰りが悪化するため、倒産に至るケースが見られるようになってきました。これを「社保倒産」と言います。社会保険料の滞納で、事業継続できないリスクが高まるのです。

「社保倒産」については、『DAIAMOND ONLINE』に興味深い記事がありました。ぜひ目を通してみてください。

●中小企業を年金事務所が倒産に追い込む…「社保倒産」知られざる驚愕の実態
 

社会保険料の滞納者に金融機関が融資をしないもうひとつの理由

今は多くの金融機関が、社会保険料を滞納している事業者に融資しません。その理由のひとつは、先ほどの「倒産リスクが高い事業者と判断されるから」です。

また、もうひとつ別の理由があります。

差押えをされると当該事業者は【期限の利益】を喪失するため、金融機関は、高確率でその事業者に対し「融資金の返済」を求めます。

既存融資の返済を求めるぐらいですから、当然、その事業者には新規融資を行うことはありません。

多額の社会保険料を滞納している事業者は、「差押えされる可能性が高い事業者」と判断され、金融機関は融資をしなくなります。
 

社会保険料の納入状況を明らかにする書類

納税証明書についてはよく知られていますが、社会保険料を納付している状況を明らかにする書類をご存じない読者も多いでしょう

事業所が社会保険料を納入している状況を明らかにする書類としては、社会保険料納入証明書」および社会保険料納入確認書」の2種類があります。

いずれの書類も、事業主からの申請に基づき発行されます。

●納入証明書・納入確認書(日本年金機構HP)
 


「融資してもらえる/してもらえない」事業者の見極めは、それほど難しくありません。

「金融機関の判断基準」を把握していれば、高い精度で融資の可否を判断できます。

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借りるメリット① 経営の自由度が高まる

借入を行えばキャッシュポジションが高くなり、積極的に投資を行うことができるでしょう。省力化のためのIT導入、人材採用のための新規広告、販促ツールの見直し、従業員のリスキリング(研修)など、経営課題に対して「この手が打てる」「あの方法を試してみよう」など、経営の自由度が高まります。

しかし資金繰りが厳しいと、どうしても支出を絞る傾向になります。そうなると攻めの経営をしたくても「資金繰りが厳しくなる」ことを恐れ、投資を避けがちになります。

もちろん不要な投資は問題外ですが、ある程度の投資を行わないと次の成長は望めません。将来的に必要な投資を惜しまないためにも、一定レベルまでキャッシュポジションを高めておくことは最初にお伝えしたいメリットです。
 

借りるメリット② 融資を受けやすくなる

2つの企業があるとしましょう。どちらが融資をしてもらいやすいかというと、圧倒的にB社です。

●A社 借入ゼロ・現預金100万円

 

●B社 借入3,000万円・現預金3,100万円

 
借入がなくても現預金が少なければ、不測の事態で資金が急に必要になった際に対応しきれません。キャッシュポジションが低いと、リスク耐久力が低下するのです。

しかし借入が多くてもそれに見合う現預金があれば、不測の事態でも余裕を持って対応することができます。

金融機関もそれがわかっているので、「借入が多くても現預金が多い企業は潰れにくい」と判断し、融資に前向きに応じてくれます。
 

借りるメリット③ 業績が悪化しても持ちこたえられる

業績が悪化し、債務超過や経常赤字になった場合、金融機関は融資に対して消極的になります。

上記でもお話しましたが、キャッシュポジションが低ければ、業績悪化=即・資金繰り悪化です。そのときになって金融機関へ融資を申し込んでも、貸してもらえる可能性は低いでしょう。貸してもらえなければ、倒産の2文字が現実味を帯びます。

しかし、たとえ業績が悪化してもキャッシュポジションが高ければ、融資を申し込む必要はありません。プールしていた現預金を充てることができるからです。

緊急の融資を受けなくても一定の期間は持ちこたえられますから、融資してもらえない=即・倒産とならずに済むのです。
 

借りるメリット④ 金融機関との関係強化に役立つ

「融資してもらっても、使い先がない」という考える企業もあるでしょう。しかし使い先がなければ、そのまま預金しておけばいいのです。

不要な融資を受けて、不要な利息を払って、しかもそのまま預金するなんて」と、理解に苦しむかもしれません。しかし、よく聞いてください。近ごろの銀行事情の話です。

マイナス金利が導入されてから、金融機関は預金を集めることに消極的でした。が、金利が上昇傾向にあると予想される最近は、多くの金融機関が預金を集めることに積極的になってきました。

なぜなら「金利が高くなると、集めた預金を国債等で運用して確実に収益を上げられるから」です。「預金協力」を行う企業に対する金融機関の心証は上がります。

また、融資している企業が預金もしてくれると、「実効金利が高くなります。金融機関の当該企業に対する収益率は高まります。

※実効金利とは、借入を行っている企業が「預金も」している場合の借り手が実際に負担する実質的な金利のこと。借入金利より預金金利のほうが水準が低いため、表面金利に比べて高くなる

(例)同じ借入額で預金なし/預金ありの実効金利比較 ※借入金利5%・預金金利1%の場合

 

●預金なし → 実効金利5%
借入額1,000万円/借入金利5%/預金額0円 
(500,000円(借入利息)/10,000,000円(借入額)×100=5%)

●預金あり → 実効金利9%
借入額1,000万円/借入金利5%/預金額500万円/預金金利1%
((500,000円(借入利息)-50,000円(預金利息)/10,000,000円(借入額)-5,000,000円(預金額))×100=9%)

 
実効金利が高くなるとわかっていて、なぜ、わざわざ借りてまで預金を」と不思議に思う経営者もいるでしょう。しかし預金を積み上げれば「より儲けさせてくれる企業」として、金融機関はこの企業を大事にしてくれるようになります。

この「金融機関が自社を大事にしてくれる」状態を構築し、さらに維持していけるのは、企業として大きなメリットです。
 

借りるデメリット① 不要な利息を払わなければならない

必要でない資金を借りることで、本来なら支払う必要のない借入利息が発生します。その結果、収益が悪化するという影響があります。
 

借りるデメリット② 気が大きくなって経費が膨らみやすくなる

資金ポジションが高くなると、経費の要不要を深く吟味せず「ま、いっか」と支払ってしまいがちです。そうなると事業運営の精度が低くなり、収益率が下がります。
 

こんな性格の経営者に融資をすすめてはいけない

借入をプレッシャーに感じる経営者

「借金がある」ことに、モチベーションよりプレッシャーを感じやすい経営者がいることはたしかです。無用な心配ごとを避けるため、できるだけ「無借金経営」を目指す経営者もしばしば見かけるほどです。

そして経営者が心身ともに健やかに保つことは、事業を進めるにあたっていちばん大切なこと。それぞれの会社に、それぞれの成長ペースがあります。士業・コンサルタントとしては、「借りること」のメリットを強調しすぎて、経営者に融資を無理強いしないように心得たいものです。

気が大きくなりやすい経営者

金融機関から借りられるだけ借り、キャッシュポジションが高くなった結果、気が大きくなって不要な投資や買い物をしたがる経営者がたまにいます。このような性格の経営者に、「銀行が打診してきたから」といって不要な借入をおすすめしてはいけません。

近年のコロナ融資でも、金融機関から勧められて不要な資金を借りた経営者が多くいました。「せっかく国が積極的に貸してくれるんだし、金利も保証料も不要だし、いざというときのために」と言われたら、「じゃ、とりあえず」と答えたくなるものです。

しかしその中で、「仮想通貨(何とは言わない)に投資して溶かした」「高級EV車(どことは言わない)を購入、しかも改造費に大きな資金を投入した」という経営者の話は何度か耳にしました。
※他の事例としては「高級SUB車」「高級腕時計」(どれとは言わない)、また「美術品」などもありました…

このような企業が業績悪化して新たに資金を借りたくなっても、以前借りたコロナ融資の使い途を銀行から尋ねられると胸を張って答えることはできないでしょう。銀行も「そういう経営者なら」と融資してくれず、廃業に至った企業が何社かありました。

堅実な経営者なら、あのコロナ融資も、もし有効な使い途がなければ預金しておいたはずです。「借りられるだけ借りる」ことができる状況で借りてもプールしておけない傾向の経営者には、借りることによるデメリットもていねいにご説明しましょう。
 

デメリットを上回るメリットに注目しよう

私の考えは「借りられるなら借りておくべき」です。もちろん上記のように「おすすめしない」経営者のケースもありますが、一般的にはメリットとデメリットを比較すると、借りておくメリット=金融機関との関係構築のほうが大きいと考えるからです。

たとえば借入利息は、経費。決算が黒字の企業ならその分を浮かせて税金を多めに支払うより、金融機関との良好な関係を構築する費用だと考えられるでしょう。

 

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こんにちは。北海道旭川市の樫原光一です。

近ごろ企業の人件費・物価高騰による資金繰り相談が後を絶ちません。

 
人件費や物価高騰が原因で資金繰りが厳しくなっている中小企業のために、日本政策金融公庫や信用保証協会には融資制度や保証制度が用意されています。

もちろん申請する事業者の経営内容や財務内容、金融機関取引状況によっては、利用できないことがあります。 

下記に紹介する融資制度や保証制度を利用するときは、依頼する順番が大切。以下の順番で融資を依頼しましょう。

(1)懇意にしている民間金融機関(メインバンクなど)

メインバンク、サブバンクなど懇意にしている民間金融機関があれば、真っ先に相談したいところです。

親身な姿勢で相談にのってくれる可能性が高く、使える信用保証制度を指定して「○○という信用保証制度による融資を」と依頼すれば、前向きに取り組んでもらえるでしょう。

(2)商工会・商工会議所

中小企業にとって比較的利用しやすいのが、公庫の「マル経融資(小規模事業者経営改善資金)」です。

「商工会、商工会議所又は都道府県商工会連合会の実施する経営指導を受けている小規模事業者(商工業者に限る。)であって、商工会、商工会議所等の長の推薦を受けた方」が利用できる制度です。

もし顧客企業が商工会や商工会議所の会員なら、申し込みの優先順位が高い融資制度といえるでしょう。

また一方、商工会や商工会議所の会員でなくても利用できますが、会員/非会員では経営指導員の熱意が違ってきます。

(3)日本政策金融公庫

懇意にしている民間金融機関がなく、(2)商工会や商工会議所の会員でもない場合は、日本政策金融公庫の「経営環境変化対応資金(セーフティネット貸付)」の利用を検討しましょう。

(4)懇意にしていない民間金融機関

懇意にしている民間金融機関も、会員になっている商工会・商工会議所もなく、(3)公庫の「経営環境変化対応資金(セーフティネット貸付)」も断られると、残るは「懇意にしていない民間金融機関」。

ただし融資してもらえる確率はかなり低いと思います。「ダメ元」くらいの覚悟が必要でしょう。

(5)どこからも貸してもらえない場合

(1)~(4)すべて依頼して断られた場合、事業継続のために資金流出を止める必要があります。そのために真っ先に俎上に載せたいのが、「リスケ」

いま融資取引をしている金融機関に対し、すみやかにリスケ依頼をしましょう。

 

事業者から取引金融機関へ
追加融資をしてもらえなければ

 

事業を継続していくために
「リスケ」をしなければなりません


 
ここで「追加融資をしてもらえなければ」という前置きは重要です。金融機関に深刻度が伝わり、追加融資への積極度が(多少)向上する可能性があります。

 

【信用保証協会】物価高騰対策資金・緊急経済対策資金等

以下はそれぞれの融資制度の説明です。

物価高騰・人件費高騰に対応するための融資制度は、各地方自治体にあります。そのほとんどが、信用保証協会の保証つき融資です。

制度名は、地方自治体によって違います。地方自治体名(都道府県・市区町村)」+「物価高騰」+「融資」で検索すると、対応する制度名が出てくるでしょう。

あらかじめ地元の地方自治体(都道府県・市区町村)の対象となる制度を調べておき、懇意にしている民間金融機関に出向いて、その制度を利用した融資の申請をしてください。
 

【日本政策金融公庫】マル経融資(小規模事業者経営改善資金)

商工会議所や商工会などの経営指導を受けている小規模事業者の商工業者が、経営改善に必要な資金を無担保・無保証人で利用できる制度です。

<利用できる方>
商工会、商工会議所又は都道府県商工会連合会の実施する経営指導を受けている小規模事業者(商工業者に限る。)であって、商工会、商工会議所等の長の推薦を受けた方

<融資限度額>
2,000万円

<返済期間>
運転資金 7年以内(据置期間 1年以内)
設備資金 10年以内(据置期間 2年以内)

●マル経融資(小規模事業者経営改善資金)

 

経営環境変化対応資金(セーフティネット貸付)

社会的、経済的環境の変化などにより、一時的に業況の悪化を来している中小企業が経営基盤の強化を図るために利用できる融資制度です。

2024年3月末までなら金利優遇があります。※2023年10月末現在

<利用できる方>
社会的、経済的環境の変化等外的要因により、一時的に売上の減少等業況悪化をきたしているが、中長期的にはその業況が回復し発展することが見込まれる方で、次のいずれかに該当する方

(1)最近の決算期における売上高が前期または前々期に比し5%以上減少している方
(2)最近3ヵ月の売上高が前年同期または前々年同期に比し5%以上減少しており、かつ、今後も売上減少が見込まれる方
(3)最近の決算期における純利益額または売上高経常利益率が前期または前々期に比し悪化している方
(4)最近の取引条件が回収条件の長期化または支払条件の短縮化等により、0.1ヵ月以上悪化している方
(5)社会的な要因による一時的な業況悪化により資金繰りに著しい支障を来している方または来すおそれのある方
(6)最近の決算期において、赤字幅が縮小したものの税引前損益または経常損益で損失を生じている方
(7)前期の決算期において、税引前損益または経常損益で損失を生じており、最近の決算期において、利益が増加したものの利益準備金及び任意積立金等の合計額を上回る繰越欠損金を有している方
(8)前期の決算期において、税引前損益または経常損益で損失を生じており、最近の決算期において、利益が増加したものの債務償還年数が15年以上である方

「物価高騰」「人件費高騰」の影響を受けているのは、上記(5)に該当します。

<利用限度額>
4,800万円

<返済期間>
運転資金  8年以内(据置期間 3年以内)
設備資金 15年以内(据置期間 3年以内)

●経営環境変化対応資金(セーフティネット貸付)

 


人件費・物価高騰による資金繰りの悪化に伴う士業・コンサルタントへの融資相談は、今後ますます増えてくるでしょう。

しかし資金繰りに苦しんでいる中小企業が、今まで縁もゆかりもない金融機関をいきなり訪問して融資を依頼しても、絶対に助けてくれません。

今後スムーズに融資をしてもらうためには、「懇意にしている民間金融機関」を持っておくことが必須。とはいえ残念なことに、そのような金融機関を持っていない中小企業は少なくありません。

 
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2023年10月以降のコロナ融資:金利変更、利用期限延長措置など

  • 平時モードへの移行が顕著ですが、期間延長などでまだ使える制度はあります。

こんにちは。北海道旭川市の樫原光一です。

2023年8月30日(水)、経済産業省「挑戦する中小企業応援パッケージ」を公表しました。

このパッケージは経済産業省金融庁財務省と連携し、中小企業の持続的成長を支援するために策定されたものです。おもな支援策は2点。

Ⅰ 将来の挑戦に向けたコロナ資金繰り支援
Ⅱ 挑戦する中小企業の経営改善・再生支援の強化

 
この「Ⅰ 将来の挑戦に向けたコロナ資金繰り支援」(資料上部)に、2023年10月以降の「コロナ融資」の取り扱いが記載されています。

 

新型コロナウイルス感染症特別貸付」2024年3月末まで延長

2023年9月末で終了予定となっていた日本政策金融公庫等の「新型コロナウイルス感染症特別貸付」が、2024年3月末まで延長されることになりました。来年3月末までは、「同額借換による返済据置期間の延長」の依頼が可能です。

ただし、今までより金利が上がります。

2023年9月末までは「新型コロナウイルス感染症特別貸付」の金利は「基準利率-0.9%」でしたが、2023年10月以降は「基準利率-0.5%」と、0.4%上がります。
 

セーフティネット4号での新規融資」2023年9月末で終了

信用保証協会の保証つきで民間金融機関から借り入れられるコロナ融資のひとつセーフティネット4号(100%保証)」において、新規融資のみの取り扱いが2023年9月末で終了しました。

セーフティネット4号自体の取り扱いは当面、引き続き2023年12月末までは「同額借換」や「増額借換」は可能です

ただし「コロナ借換特別保証制度」は、2024年3月末までとなっています。あらためて2023年12月初旬前後に、「2024年3月末まで延長」というアナウンスがあると思います。
 

「コロナ資本性劣後ローン」2024年3月末まで延長

コロナ資本性劣後ローンについては、貸付限度額を10億円⇒15億円と引き上げた上、2024年3月末まで延長されます。

まだまだ利用が進んでいない制度ですが、通常の「資本性ローン」よりは借りやすい建付けです。

 

セーフティネット貸付の金利引下げ措置」2024年3月末まで延長

あまり知られていませんが現在、「原油価格上昇をはじめとした原材料・エネルギーコスト増の影響」「ウクライナ情勢の変化の影響」「物価高騰の影響」を受け、利益率減少している事業者は、「セーフティネット貸付(経営環境変化対応資金)」を申し込むことができます。

金利は2023年9月末まで基準金利より0.4%~0.7%引き下げられていましたが、この措置が2024年3月末まで延長されます。
 

新たな融資・保証制度の創設はゼロ。徐々に平時モードへ

上記で紹介したものはすべて、今まであった制度の延長。コロナの影響が徐々に減り、平時モードに移行していることがよくわかります。

この流れだと、今回延長された融資制度や保証制度も2024年3月には終了する可能性が高いのではないかと予想します。士業・コンサルタントのみなさん、今の制度がある間に、利用できそうな顧客へ早めにお伝えしましょう。


コロナ融資やコロナ保証は縮小傾向。今までのように比較的簡単に融資をしてもらえることはなくなっていくでしょう。今後の融資申請時には、「金融機関が貸しやすくなる資料」の添付が不可欠です。

またコロナ以前、資料を添付しなくても借りることができていたのは、担当者が経営者にヒアリングを行い、その内容を融資稟議書に反映していたからです。しかし今は担当者も多忙で、そこまでの働きは期待できません。

コロナを経て融資審査も厳しくなり、今は借りたい側からの情報提供が重要です。

 

 

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